意見書

 

平塚市 湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備・管理運営事業の見直しについて

 平塚市湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備事業は、プール跡地の東側樹林帯を70%以上伐採する計画であり、樹林帯の持つ防災・減災機能を大きく弱め、市民生活を脅かす恐れがあることから、私たちは2020年1月に市の選定委員会が選定した事業者側提案計画の見直しを求めています。

 

 しかしながら平塚市は、具体的な計画案を提示しなかったにもかかわらず、遡ること2019年6月議会で16億円の債務負担行為の補正という形で提出され承認を得た事業であるとして、一向に顧みられないのが現状です。このまま行きますと2021年12月に工事は着工され、豊かな平塚海岸の自然は大規模な造成工事により破壊され、取り返しのつかない事になってしまいます。

 

 私たちは、基本的には廃止された龍城ヶ丘プールの跡地整備に賛同しています。私達が異を唱えているのはプール跡地の東西に隣接する海岸林による樹林帯の大規模な伐採に関してです。平塚市が昭和13年から占用しているプール跡地の整備に留まらず、新たに神奈川県から占用許可を受けて隣接する東西の樹林帯を伐採開発して、広大な駐車場やコンビニエンスストアを設ける必要性は全くありません。Park-PFI事業としても、当初予定していた2,500㎡の大きな商業施設が、事業者側の提案では事業者側の採算性を考慮して1,000㎡弱に縮小されたことにより、プール跡地に開発を限定しても十分に成立する事業となりました。私たちはただ反対するのではなく、専門家の力を借り、プール跡地に限定した代替案も提案しています。それにもかかわらず平塚市は、海水浴にも危険な浜辺に面してコンビニや、雨ざらしで吹き曝しの野外バーベキュー場を設ければ年間76万人の集客が見込めると主張して、建設費のほとんどが平塚市の負担となる東側樹林帯の開発を見直そうとしません。

 

 この海岸林は県により県税をかけて40年もかけて育成したものであり、近隣住民の防災上の安全と安心にかかせないものとなっております。また多様な動植物が生育し、「樹林帯」と呼ばれて市民の憩いの場ともなっています。平塚市は戦前より運営されていた市営龍城ケ丘プールの閉鎖に伴い、隣地も含めての公園開発を計画し事業者を募集いたしましたが、計画によると海岸林の70%以上が伐採されて駐車場等となります。市の説明によると伐採したところも緑地率確保のために芝生を張ったり一部に中高木を植樹するとのことですが、海岸環境は厳しく、人工的に植樹された樹木はなかなか育ちません。荒廃したプール跡地を整備することに関しては、これに反対する市民はおりません。しかし、実質的な砂防林となっている隣地の樹林帯をも伐採してしまうのは、市民の防災上、大きな損失であり、また海岸の景観や自然環境保全を目指している市の基本的方針とも乖離している行為です。Park-PFI事業としても事業者側の提案は市が想定した施設規模を40%以下に縮小されており、敷地面積だけプール跡地を越えて樹林帯にまで拡大する理由は失われています。

 

 平塚市は、海岸エリアに駐車場が必要だと説明していますが、平塚湘南海岸公園内にある平塚新港に隣接した385台分の広大な駐車場は、この夏場のピーク時でも平日で5%程度、土日で30%程度の利用率に留まっておりガラガラの状態です。平塚市長は、危険で海水浴ができない龍城ヶ丘ゾーンの浜辺でも、コンビニや小規模物販店、バーベキュー場や民間のカフェが整備されれば年間76万人の来場者があり、それに見合った駐車場も必要だと説明していますが、あまりに荒唐無稽な計画です。観光客の誘致や地域経済活性化が目的であれば、平塚新港エリアの都市計画公園湘南海岸公園の指定廃止に伴い、空地となっている市有地に大磯港に建設中のみなとオアシスと同等の施設を整備するなど、既存の遊休地を活用して平塚海岸エリアの活性化を図るべきです。

 

 龍城ヶ丘プール跡地だけでも公園整備には十分な広さがあります。神奈川県が湘南海岸公園内に整備した西部駐車場や中部駐車場のように、既存の凹地を活かした地下駐車場形式にすれば、ダンプトラック1万台分の不要な土砂投入を伴う大規模造成工事や、市民県民の貴重な財産であり防災上も重要な機能を持つ砂防林の大規模伐採を取りやめて、海岸の景観に配慮し安全で管理され、防災倉庫や津波避難ビルとしても活用可能な、最大で150台程度の地下駐車場を伴う公園整備が比較的少ない予算で可能です。駐車場の屋上は、国道と同レベルで事業者側提案より広い広場となります。134号線を超えるような極大津波の際は、同一建物内で垂直避難も可能です。むやみに敷地規模を拡大して、40年近い期間を経て生育した既存の海岸林を伐採する必要性はまったくありません。

 

 平塚市落合市長に対して、樹林帯伐採を取りやめた計画に見直していただきたく、県民市民8000名以上が平塚市長宛に見直しを求める署名を提出し、また近隣自治会や多数の市民団体が訴えていますが、これまで計画の変更はおろか検討の努力すら見られません。龍城ヶ丘ゾーンの公園再整備は、環境や景観、地域住民の生活や安全に配慮し、プール跡地に限定した整備方針に見直して頂くよう、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

 

図-01 龍城ヶ丘ゾーン事業計画地における東側樹林帯の位置

図-02 龍城ヶ丘開発エリア全域(赤枠内)

図-03 平塚市が選定した湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備案 

(既存海岸林の7割以上が伐採されて駐車場等となる)

図-04 市民側が提示したプール跡地に限定した整備案 

(駐車場はプール跡地の凹地に設けるため全く見えない)


1. これまでの経過

1937年    平塚市営龍城ヶ丘プールの開園(2013年閉鎖)

2013年    湘南海岸公園再整備計画の策定

2014年    12月議会にて龍城ヶ丘プール跡地または高浜台湘南海岸公園に道の駅構想の検討を公表

2015年7月    平塚市は高浜台湘南海岸公園内の道の駅構想を断念(近隣住民の反対による)

2016年5月 海岸エリア魅力アップチャレンジ構想を公表

2017年    6月議会にてパークPFI方式で龍城ヶ丘プール跡地を整備する方針を表明

2018年4月11日:平塚市長に「計画撤回要望書」 

      NPO 法人暮らし・つながる森里川海、相模川キャンプ・イン・シンポジウム

      桂川・相模川流域協議会相模川湘南地域協議会、日本野鳥の会神奈川支部

2018年6月11日:平塚市長に「計画撤回の再要望書」(同上)

2018年6月11日:神奈川県知事に「見直しの要望書」(同上)

2019年6月:平塚市による地域住民を集めた説明会(2か所にて)

      →樹林帯伐採反対、計画見直しの声が会場を埋める。

    8月:市民よりプール跡地に限定した代替案提出(駐車場は既存凹地/地下扱に建設する案)

    8月:市民団体「豊かな海と暮らす平塚市民の会」(以下「市民の会」)により、地域の風害・塩害・砂害調査実施

   11月:市民の会より、樹林帯伐採反対、計画見直し要望の署名8,000余提出

      ※第1回提出時6000筆、第2回2000余

2020年1月:事業者(積水ハウス)の事業案が示される。

   2月:龍城ケ丘自治会より、樹林帯伐採反対、計画見直し要望の署名及び要望書提出。

      花水地区自治会連絡協議会より、コロナ禍により地域住民との意見交換会ができないため、当計画の一時凍結の申し入れ。住民による保安林指定申請(65名)

    4月:平塚市が事業者案への意見公募(アンケート)実施

    5月:龍城ケ丘自治会にてアンケート実施

      →自治会住民の9割近くが樹林帯保全を希望していることが判明。

    7月:第1回 藤原一繪先生の樹林帯観察会、講演会開催

       桃浜町自治会より決議書提出

    8月:平塚市が実施した意見公募(アンケート)集計に不正発覚

      ※1か所のFAXから計画に賛同する回答が多数送信されていた。

      ※市民からの意見を取捨選択して都合良く編集した集計結果概要しか公表しない。

    9月:袖ケ浜自治会より決議書提出

   10月:第2回 藤原一繪先生の樹林帯観察会、講演会

      平塚市による地域住民を集めた意見交換会(2か所、計4回)

      コロナにより人数、時間を制限し、参加住民をグループ分けし実施するなど十分に意見が言える意見交換会とならなかった。

      「海街フェスの開催」樹林帯の重要性を市民へ認識してもらうための催し。1000人余の市民が参加


2. 問題点

(1)東日本大震災以降の海岸林保全の動き

 東日本大震災津波では白砂青松の松林が損壊していますが、古砂丘地形のクロマツ林や天然クロマツ林、複層林は残っているのが確認されています(藤原一繪 2011年)。 海岸林は多重防御の一つとなるという見解から、複層林としての海岸林を保護育成する動きは東北地方、千葉県、静岡県など各地で活発化しています。

 一方、平塚市は平成24年発行の国土交通省の資料「津波災害に強いまちづくりにおける公園緑地の整備に関する技術資料」を引用して「龍城ヶ丘の樹林帯は津波を防ぐ効果はない。樹林帯を残せば津波を防げるという考え方は誤っているので、正していきたい」としています。しかしながらこれは、龍城ヶ丘樹林帯とは全く質が異なる樹林をベースにシミュレーションされた数値のみ意図的に引用したもので誤っているだけでなく、そもそも樹林帯で津波の侵入を防げると考える市民は一人もいませんので正していただく必要はありません。

 平塚市が引用した前記資料のシミュレーション数字は、樹林密度が3000本/ha(坪1本程度)、枝下2メートル、津波の高さが地上3メートルという条件の場合であり、この条件であれば、海岸林は津波の速度減少に大きく影響を与えないとありますが、これに対して龍城ヶ丘の場合は、樹林密度は坪7〜10本以上(密度の高いところはそれ以上)、幹の太さは細いですが枝下高は低いところで30㎝以下ですから、津波の高さが地上3メートル未満の場合の減災力は期待できる判断できます。このような津波の場合は、津波が後背地に到達する時間を遅らせることにより住民の避難時間を若干でも確保し、また水の威力を減少させるだけでなく、駐車場の車などが住宅地方面に流されることも防ぐことにより被害を軽減できる可能性があるとしているのです。

 前記国交省の技術資料だけでなく、海洋土木の第一人者である宇多高明先生も、平塚海岸の海岸林の管理育成を指導された防災林研究で世界的に著名な藤原一繪先生も、龍城ケ丘樹林帯には津波被害を減災する力があると述べています。巨大地震が懸念される昨今、津波被害軽減のため、海岸林を今以上に保護育成しようとする動きは全国で理解、実践されているものです。この日本各地の動きに反し、県が40年もかけて育成してきた海岸林を伐採する必然性はまったくありません。

 

図-05 国土交通省発行「津波被害に強いまちづくりにおける公園緑地の整備に関する技術資料」より

 

 

 国土交通省は、前記技術資料などに基づき、平成26年には改正海岸法を施行して、減災機能を有する海岸の樹林は、緑の防潮堤として海岸保全施設に位置付けました。龍城ヶ丘と袖ヶ浜海岸の場合は、既存の海岸林は、県が現在行っている養浜工事により築造されている堤防と一体的に機能し、減災機能を有する樹林(「緑の防潮堤」)など粘り強い構造の堤防等として海岸保全施設に位置付けられるものです。

 

図-05 自然砂丘堤防と一体的に設置された減災機能を有する樹林は海岸保全施設に位置づけられ、海岸防災林として整備・保全されなければならない。(国土交通省発行:改正海岸法パンフレットより)

図-06 L1クラス(6.5m以下)の津波でも浸水し流される平塚新港駐車場の車

(神奈川県が平塚新港駐車場に設置した津波避難情報掲示板より)


(2)風害、塩害、砂害について

 風害、塩害、飛砂については、私たちの調査では樹林帯に減災力があることが明らかになりました。平塚市は、塩害は海岸からの距離によって一律に影響を受けるため、樹林帯を切っても塩害等の程度は変わらないと言っていますが、海水の飛沫が到達する海岸から500メートル以内の、いわゆる重塩害地域は、海岸林の有無によって塩害の程度は大きく異なります。造成し、駐車場を設けるため、海岸沿いの住宅地への飛砂、塩害、強風等の影響は海岸林の伐採により確実に増加し、近隣住民の財産を毀損すると考えます。平塚市は造成後に植栽し、機能を維持するとしていますが、事業者に対しては国道への飛砂軽減のみ要求し、住宅地への影響は考慮の対象から除外しています。そもそも植樹すると言っても植樹面積が少ないこと、木々の成長には30年以上かかることから、少なくともこの間は自然災害に対し無防備の状態が続きます。前出の藤原一繪先生は、植樹された成木は厳しい海岸の環境では根づかない、すなわち成長せずに枯れてしまうとも指摘しています。

図-07 海岸防災林の潮害防備機能(神奈川県湘南海岸)2016年 吉﨑真司教授(東京都市大学環境学部)

湘南海岸の砂防林があることによって、飛来塩分量が低下し塩害が軽減できることを示している。

図-08 地上5mの国道上空歩道橋に堆積した飛砂

(2020年3月~9月の間に約2cm堆積した)

これだけの砂が風で住宅地方面に飛来している。

図-09 飛砂に埋もれた平塚海岸海辺のさんぽ道

(平塚市は維持管理予算を計上しているが

飛砂の量は多く除去は全く追いついていない)


(3)気候変動による大規模自然災害の発生と県の動き                                         

 近年、地球温暖化による気候変動のため大規模な災害が勃発しています。神奈川県は「かながわ気候非常事態宣言」を発し、あらゆる主体が気候変動問題を改めて認識し、「自分事」として捉え、日頃から意識を持って行動することが必要としています。海辺の賑わい創設の前に、防災、減災機能の維持強化が優先課題と考えます。

 海岸に近いエリアを選んで住んでいるのだから、飛砂、塩害、暴風害を始め、津波の被害も自己責任だという発言も聞かれますが、住民の安全を守るのは行政の基本的義務です。

図-10 令和1年台風19号襲来時の龍城ヶ丘プール跡地前海岸に打ち寄せる大波

  西寄りの風のため高潮の影響は少なかったが、風速は40m/秒近くとなり、高波は砂丘崖に届いて

崖を浸食した。このような場所に施設を設ければ、その土台は波で削られ建物は強風で破壊される。

図-11 平成19年に発生した高潮、高波による湘南海岸沿岸の被害

相模灘沿岸海岸保全基本計画(神奈川県)より

(4)自然環境の保全

 生物多様性を始めとする自然環境保全の認識が欠如しています。樹林帯や草地には多様な生き物が生息しています。伐採や芝生広場の設置、コンクリート舗装により、多くの生き物の命が失われます。樹林帯は現在、子どもたちの環境教育の場としても活用されていますが、そのような貴重な場としての機能も失われます。SDGsを推進している神奈川県の施策にも反するものです。次世代を担う、子どもたちに継承すべき施策が提示されていないのは大きな課題です。

 

(5)観光利用による生活環境悪化

 年間76万人の観光客を誘致するということは、毎日数千人の観光客をイベント等開催して集めるということですから、もしそうなれば、観光客の劇的な増加により、周辺道路の渋滞や騒音、喧騒、バーベキューの匂い、花火、違法駐車、ゴミ問題、治安の悪化等が懸念されます。このエリアは静かな住宅地であり、生活環境の悪化が懸念されます。近くには小学校もあり、子どもを狙った犯罪も心配されます。24時間のコンビニ営業とその前の駐車場広場は暴走族の溜まり場となる懸念が強く、深夜に亘り静かな生活環境が破壊されます。

 

(6)近隣住民の意見が取り入れられていない

 本年5月に「龍城ヶ丘の環境と生活を考える会」が龍城ケ丘自治会の住民に対して実施したアンケート調査では、住民の8割以上が事業者案について不満を持っており、「東西樹林帯を残す」形でのプール跡地整備を希望しています。塩害風害砂害、津波高潮などへの防災機能の低下と観光客を含む来場者による治安悪化を懸念しています。

これら、近隣住民の意見を一部の意見であるとして、無視し続けようとするのは行政の行うべきことではありません。事件や事故、自然災害の被害は防止したり、縮小化したりするよう勤めるのが行政の役割です。

 

(7)事業としての疑問 (事業の採算性と実施の妥当性に関する問題点)

 隣接する茅ヶ崎市には、龍城ヶ丘からわずか2.6kmの新湘南バイパスIC入口付近に施設規模2,995㎡、駐車場184台の道の駅が建設中です。また西に隣接する大磯町にも、龍城ヶ丘からわずか2.7kmの大磯港に施設規模1,190㎡の道の駅(みなとオアシス)が建設中です。道の駅は24時間駐車場が無料なのに比べて、今回計画している駐車場は有料です。施設規模も660㎡+コンビニ+カフェと小規模で集客効果が高い施設も無いので、市税を16億円投入する事業として成り立つかは大いに疑問です。平塚市長は年間76万人の来場者を見込んでいますが、危険なため海水浴場ではない海岸に小規模物販店とコンビニ+カフェ、野外のバーベキュー場を設けたくらいで、休日8千人、平日千人の来場者を見込むのは荒唐無稽な計画と言わざるを得ません。

図-12 茅ヶ崎市柳島地区に建設中の道の駅

図-13 大磯港に建設中のみなとオアシス


 もし計画している120台の駐車場がいつも満杯になるだけの来場者があったとしても、事業者が平塚市に支払う賃料等は年間370万円だけで、この公園施設から得られる年間1億円以上の売上は、施設整備費の約9割を平塚市が負担するにもかかわらず、全て事業者側の収益となります。しかも売上があっても無くても、平塚市は事業者側に年間3千万円近い管理委託料を支払うことになっていますから、事業の成否にかかわらず、平塚市側が一方的に事業者側に将来20年間に亘って支払を続けるというPFI事業としては片務性の高い不公平な契約と言わざるを得ません。

 

 

(8)事業としての疑問 (開発対象範囲を占用許可対象地から大幅に拡大したことの問題点)

神奈川県から占用許可を受けている既存の龍城ヶ丘プール跡地(約7,000㎡)に整備範囲を限定せずに、東側隣接の樹林帯(約16,000㎡)まで敷地を拡大して駐車場などを整備する合理的な理由は全く見当たりません。

図-14 平塚市が選定した事業者側提出案

 

 平塚市は、地元自治会に対しては龍城ヶ丘プール跡地に開発を限定すると説明しながら、県に対してはプール跡地の東西に広がる神奈川県が管理する海岸林の樹林地にまで開発範囲を大幅に拡大した事業計画を説明し、事業者公募のための要求水準書を作成しました。応募する事業者は、平塚市が提示した要求水準書に沿って提案せざるを得ないわけですが、事業に採算性が見込めないことから、平塚市が負担する特定公園施設の割合を増やして、事業者側の負担となる公募対象公園施設などに対する投資額を徹底的に最小化する提案となっています。団体観光客を誘致するための大型バス駐車場すら事業者側の負担工事となるため計画から除外されています。

 東側に隣接する樹林帯に範囲を拡大するのは、敷地面積の約40%を占める広大な屋外駐車場を設けるためですが、図-05に示すように全体の駐車台数を半分の60台にすれば、樹林帯にまで開発敷地を拡大する必要はありません。平塚海岸新港地区にある既存の380台分ある駐車場のこの夏場の利用率が、平日で5%程度、土日で30%程度と極めて低くガラガラであることを考えると、遊泳が危険で海水浴場ではない龍城ヶ丘海岸に設ける駐車場規模は60台でも十分です。そもそも120台という駐車台数も、3,000㎡の規模の商業施設や、54,000台/日の国道通過交通を基に算出されたもので、施設規模が縮小されれば駐車台数も縮小すべきです。

図-15 規模縮小案

しかしながら駐車台数の確保を優先するのであれば、図-06に示すように、神奈川県が湘南海岸公園内に整備した中部駐車場等のように、プール跡地の凹地を活かした地下駐車場形式の立体的整備を行えば、120台以上の駐車場と平塚市の要求を100%以上満たす施設整備も可能です。

図-16 市民側提示の代替案

 すなわち、神奈川県のように知恵を使って計画を策定すれば、むやみに既存の海岸林を伐採して開発対象範囲を拡大し、2万立米以上(大型ダンプトラック1万台程度)の無駄な大規模造成工事を行わなくても市の要求する規模と内容の公園整備は可能であり、東側樹林帯を伐採する必然性も必要性も全く無いということです。施設全体が津波避難ビルとなり防災拠点にもなります。

 龍城ヶ丘プール跡地の東西の樹林帯は、海岸法第3条第1項に基づき神奈川県知事により海岸保全区域に指定されており、同法第2条の3第1項等に基づき「相模灘沿岸海岸保全基本計画」を作成し海岸保全区域として管理しています。同計画の平塚ブロックに関しては「(海岸環境の整備と保全について)・長い砂浜が海岸特性であり、砂浜は、砂浜を生息地とする動植物の共通の財産である。特に、砂草帯は、生態系の1つであるとともに、人に安らぎを与え、飛砂を防備する保全機能も備えている。これらの自然の財産を保全し、次世代へ継承することを目標とするものとする」とあり、龍城ヶ丘プール跡地東西の樹林帯は、これに基づき神奈川県により管理されています。

 しかしながら平塚市は、県の管理が悪いから「鬱蒼と樹木が繁茂し日中でも薄暗いなど、だれでもが安心安全に利用できる状態ではない」ので、国道から海まで見通しが利く程度に海岸林を伐採し、緑地率を確保するための芝生広場や屋外駐車場にすべきだと説明しています。すなわち一義的な目的は、県が所有し半世紀以上に亘って海岸保全区域として維持管理している海岸林の無用な伐採であり、海岸法に基づく「相模灘沿岸海岸保全基本計画」を誤認して進めている計画です。

 

(9)事業としての疑問 (都市公園法第5条の2他に違反する可能性)

 平塚市は県から占用許可を受けている龍城ヶ丘プール跡地以外の隣接する東西の樹林地に関してはその公園管理者ではないので、平塚市がPark-PFI制度を用いて東西樹林帯の整備に関する事業計画を策定し実施することは都市公園法第5条の2他に違反しているとして市民から監査請求も提出されています。

 また平塚市は、都市公園法第3条第2項および都市緑地法第4条第1項に基づき、「平塚市緑の基本計画(第2次)」を定め、龍城ヶ丘公園計画地を「湘南海岸の緑・水辺軸」として、「広域的な環境を支える緑と水を守り、創り、育てます」「海辺の緑の保全・活用」を図るとための環境保全地域と定めながら、全く合理的な必要性の無い駐車場建設のために既存の海岸林の約70%を伐採しようとしており、都市公園法、都市緑地法、平塚市緑の基本計画(第2次)に違反する計画となっています。

 

(10)事業としての疑問 (民間側施設規模が半減したのに平塚市の負担分は増えている)

 平塚市が市内事業者に対してテナント等参加希望者の募集を行ったところ、ほとんど参加希望者はなかったことから事業者側の応募案における公募対象施設は市の想定の4割以下に規模が縮小されています。それにもかかわらず、平塚市がその建設整備費の9割以上を負担する駐車場等の特定公園施設は、全く規模縮小されていないどころかむしろ内容が拡大しています。公募対象施設と同様に特定公園施設の規模も半分以下に縮小すれば、東側に隣接する広大な樹林帯を開発する必要性はありません。

図-17 各事業者グループ提案における建物の面積と用途(G4が選定された積水ハウスグループ案)

自社で温浴施設を建設運営する提案をしたG2グループ以外は、事業としての採算性が見込めないため、市が想定した2,500㎡を大幅に下回る規模の公募対象公園施設(テナントによる商業ビル)しか提案できていない。G4グループは市が費用負担する特定公園施設をテナントビルにしてしまった。

 平塚市は敷地面積を東西の樹林帯にまで拡張した理由をPark-PFI制度による建坪率の特例を使用するために必要と説明していましたが、公園内の建物面積が要求水準書にて設定していた2,500㎡から事業者側提案の990㎡に縮小されたために建坪率制限を超えることがなくなり、Park-PFI制度を使用しても事業計画はプール跡地だけで成立することになりました。すなわち、Park-PFI制度を適用するために東西樹林帯まで敷地を拡大する必要性は無くなったということになります。

 G4(積水ハウスグループ)の提案における津波避難施設(エントランス棟)は、実質的には平塚市が数億円の建設費を負担しオーナーとなりながら、格安の約35,000円/月で積水ハウスが市から管理を委託され、コンビニエンスストア会社をテナントとして入れて、それぞれがテナント料と売上を収益として受け取るという、民間事業者に対する利益供与とも受け取れる内容です。

 また、G4(積水ハウスグループ)の提案における660㎡規模の公募対象公園施設の構成は、約470㎡のマルシェ棟と約190㎡のカフェ棟の2棟ですが、いずれも実質的には積水ハウスが自由に管理運営できるテナントビルであり、地元平塚の出店者なければ、高額なテナント料や保証金を負担できる全国チェーン展開している焼き肉店や回転寿司店になる可能性もあります。JA湘南が管理運営するあさつゆ広場のような直売所ではありませんから、地元平塚の中小事業者は、大手チェーン店などと競争できる出店料を求められることとなります。

 

(11)事業としての疑問 (提示された計画案の問題点)

 平塚市は、湘南海岸公園内の拡張した広大な海岸の土地を総合公園として整備すると説明していますが、実際には敷地面積の約4割が屋外駐車場、2割が収益施設で、市民が自由に立ち入って使える公園は全体の1割程度しかありません。これで市民のための公園と言えるでしょうか。その実態はコンビニ建物も含めて市民の税金を使って建てる民間事業者のための収益施設です。

 計画案における駐車場出入口が3箇所ありますが、内2箇所は交通量の多い国道134号線の信号の無い中間点に設けられていて極めて危険です。また駐車場侵入のための左折車線は全3箇所とも設けられていないため、渋滞や事故を起こす可能性が高まります。袖ヶ浜交差点に設けられたメインの駐車場出入口は形状が駐車場法に違反しています。全ての出入口に関して国道134号線と敷地の間には高低差があるため視認性が阻害され危険です。こんな計画を受理してはいけません。

図-18 計画案における駐車場出入口および自転車交通などの問題点

(12)事業としての疑問 (湘南海岸公園内の広域的整備に関する整合性のなさ)

 平塚市は、ひらつか海岸エリア魅力アップチャレンジと称して海岸エリアの施設整備の方針を示していますが、施設間の連携や各施設の具体的整備計画、スケジュール等がありません。そのため平塚新港エリアには、みなとオアシスなど道の駅建設にも適しながら未活用の市有地があり、都市計画公園としての指定廃止を決めながら具体的な計画が進められること無く、整備された385台分の駐車場はいつもガラガラです。こちらの遊休地を活用すれば、龍城ヶ丘で計画しているコンビニストアよりずっと少ない予算で、平塚海岸エリアの経済振興に役立つ道の駅が整備可能です。

 海岸エリアの各施設を結ぶ浜辺のさんぽ道は、保守管理の予算を計上しながらいつも砂に埋もれていて歩くのも困難なため、わずか790メートルの距離にあるビーチパークの利用者も、この駐車場を利用できなくしています。しかもこの浜辺のさんぽ道は自転車の乗り入れが禁止となっていて、鵠沼海岸から茅ヶ崎を経由して大磯方面に繋がるべきサイクリングロードは平塚市内だけ未整備の状態です。そして今回の龍城ヶ丘プール跡地の整備計画では、レストランやバーベキュー場が海岸の砂丘崖近くに建てられるために、浜辺のさんぽ道やサイクリングロードは、将来的にも整備できずにこの公園部分で途切れることになります。

図-19 平塚大浜地区新港エリアの将来構想案

(13)署名主旨の無理解と市の姿勢

 私たちは今回の計画に対し、昨年11月より「樹林帯を伐採しないでください」を主旨として計8,000余の見直しの署名を提出いたしましたが、平塚市は計画が発表される前の署名であり、大規模な商業施設等が建設されることへの反対であるから無効であると議会で答弁しています。これは「樹林帯を伐採しないでください」という署名主旨を全く理解せずに意図的に曲解しており、市民の意見を聞こうとしない行政の姿勢をよく現わしています。市民として非常に残念であり、行政のとるべき態度として問題を感じざるを得ません。

 

(14)市長の姿勢

 落合市長はこれまで一度も市民の正面に立ち、市民に対してこの事業を説明したことはありません。市長後援会の会長をこの事業の選定委員会委員に任命しましたが、この委員は選定委員会においていちいち市民の声を聞いている必要は無いと発言しています。その一方で、自らが社長を務めるFM放送局の施設が事業者側提案施設に入った事業者提案を選定していることなどから、事前に話し合いが行われた可能性も疑われます。プール跡地整備は平塚市にとって欠くべからざる事業です。市長は選挙時には「住民の意見をよく聞いて丁寧に進める。」とおっしゃっていましたので、市長自らが有権者である市民の意見を取り入れて、計画を策定していく義務があると考えます。

 

(15)市のアンケートに対する疑惑

 本年(令和2年)ウェブサイトを通じて行われた当事業へのアンケートは事業の是非を問うものではなく、事業者案を既に既定のこととして、「公園に行ってみたいか?」という問や「公園内施設のどれを利用したいか」などについてのみ選択的に問うものでした。これは、この公園の是非や問題点を問うている市民の意見を無視するものでありました。加えてこの結果には同一FAX機からいくつかの同一筆跡で「公園に行ってみたい」という意見が多数寄せられるという結果を含むものでした。既に新聞報道等にてご存じのことと思いますが、これは意図的、組織的な介入があったと市民に疑われても致し方ないと思われます。これに対して平塚市では「個々の意見が個人の意見であれば問題ない」としています。市民にとっては理解しがたい回答です。

 平塚市は、この賛成の選択肢に誘導的な市民意見募集の結果を、あたかも計画に対する賛否を問う投票として集計し、議会において約8割の回答者が「公園ができたら行ってみたい」との回答であったので賛成票が多数であったと答弁しながら、同一FAX機によるやらせ投票疑惑がメディアで公表されると一転して、あくまで意見募集であって賛否を問う投票ではないと否定しました。しかしながら、市が公表した市民意見募集の実施結果概要では、寄せられた意見の内、都合の良い意見のみを選択して採用し、結果概要として市の方針を一方的に説明するストーリーとして編集されており、市にとって不都合な意見は排除され公表されていません。市の対応はきわめて公正を欠くと言わざるを得ません。

 

 最後に当地域は、日本の海岸を守る為の海岸法で、海岸保全区域に指定されています。県の海岸林の施策にも沿い、海岸林を根付かせようとする戦後の県の努力、「2万人20万本」運動等、県民をあげて保護育成してきた経緯があります。それら長年に亘る神奈川県と県民・市民の努力と成果を無視し、生育している豊かな砂防林である海岸林を伐採して、まったく必要性の無い駐車場などを造ろうという発想事態、県の湘南海岸公園に対する継続的な施策を否定する政策と考えます。

 防災林研究の横浜国立大学名誉教授、藤原一繪先生は東北大震災における海岸林の研究を踏まえ、「龍城ヶ丘樹林帯は第1級の防災林であり、市民の命を守る樹林帯である」と断じています。海洋土木の宇田高明先生は「海のものは海のもの。人のモノにすると海が取り返す。」と述べられています。平塚の特徴的地形である海岸の自然砂丘を造成して海岸林を伐採してしまえば、自然の堤防である砂丘の砂の移動による浸食が進み、砂浜の後退と共に平塚海岸の美しい海岸線やその防災機能は急速に失われてしまいます。そのため、今回の開発に対しては、地元住民からこの樹林帯を保全するため、保安林指定が申請されています。地元、龍城ヶ丘、袖ケ浜、桃浜町の自治会が反対表明をしています。さらに黒部丘東部自治会も含めて、花水地区自治会連絡協議会では当事業の凍結を平塚市に依頼しています。

 

 皆様方におかれましては、上記問題点をご理解の上、地域住民の意見を尊重すると同時に環境面や市の財政にも十分に配慮した湘南海岸公園の整備と管理運営を進めるように、平塚市および神奈川県に対して働きかける市民運動にご理解とご協力をお願い申し上げます。

 

以上


平塚海岸と龍城ヶ丘ゾーン公園整備に関するアンケート

 

1.現在進められている計画に賛成反対の立場を明確にしてご意見下さい。

 

□ 現在の計画案を支持する。

□ 大幅な見直しが必要と思う。

□ プール跡地に限定した整備を検討すべきだと思う。

□ プール跡地も含めて整備には反対。

 

理由または御意見

 

 

2.平塚市は、現在進めている計画は内容や予算とも既に議会の承認を得た決定事項であるから住民の賛否を問う必要は無いと説明して議会の責任に転嫁していますが、議員として十分な説明を受けたとお考えですか。

 

□  議会で承認する際に、十分な説明を受けて理解し納得している。

□  承認したのは債務負担行為に伴う予算措置だけで具体的な内容は承認していない。

□  具体的な内容の説明は受けていないが、市長の提案議題なので承認した。

□  具体的な説明も無く、承認できる内容ではないので反対した。

 

理由または御意見

 

 

3.多くの地域住民は、住民に対して事前に事業の具体的な計画案を示し説明すること無く市が決定し、その後、市議会でも承認された決定事項だからと一方的に押しつけていることに対して反発しています。このような進め方に対してどうお考えですか。

 

□  住民に対しては事前に十分説明したと考えている。

□  Park-PFI手法による開発だから、事前に計画案を住民に示すことは出来なくても仕方ないと考えている。

□  住民に対しては、事後の説明でも丁寧に行えば十分だと考えている。

□  地元住民に説明して、理解して賛成を得られなければ進めるべきでは無いと考えている。

 

理由または御意見

 

 

4.地域住民の多くが、特に、飛砂、塩害、海からの強風など海岸地域特有の影響の増大、また津波などに対する防災面などで不安と懸念を抱いています。これに対してはどのようにお考えですか。

 

□  事業者側に対策を義務づけているので問題ないと考えている。

□  後背地への影響軽減は行政の責任として対応すべきと考えている。

□  海岸地域に住んでいるのだから、ある程度は我慢すべきと思う。

□  住民が安心して納得できるように計画は見直されるべきと考える。

 

理由または御意見

 

 

5.植生学の世界的権威であり、神奈川県からの委託を受けて平塚海岸の海岸林の植樹や維持管理を指導された横浜国立大学名誉教授の藤原一繪先生は、今回の整備計画案を見て意見書を落合市長宛に提出されました(添付資料)。それによると、風衝が強い海岸では成木の植樹による樹林形成は難しい、「現在平塚市が示している計画図は無謀である」、平塚市が公開したCG画のような公園植栽は、海岸には非常識である」と指摘されています。どう思われますか。

 

□  提案した事業者が出来ると言っているのであるから、責任を持ってやらせれば良い。

□  そもそも海岸林は伐採して見通しの良い公園にするのであるから、植樹は出来る範囲で良い。

□  将来的に育つかどうかはやってみなければわからない。開園時にCG画のようになっていればよいのではないか。

□  既存の樹林帯はそのまま残して、整備はプール跡地に限定し、そこにもできるだけ植樹すべきだ。

 

理由または御意見

 

 

6.当初は道の駅を建設して年間100~300万人の来場者を期待していたようですが、現在の計画では道の駅ではないとして大幅に規模も機能も縮小した計画となっています。この内容で、平塚市にとってどのようなメリットがあるとお考えでしょうか。

 

□  観光客の誘致や地域経済の振興に大きな効果が期待できる。

□  海岸でBBQなど新たな観光スポットとなり、事業者にとっての集客の場を提供できる。

□  海岸林を伐採して有料駐車場にすれば、事業者にとっては大きな収益施設となる。

□  トイレなど休憩所があれば便利。

 

理由または御意見

 

 

7.市が選定した事業者側提案では、事業者側負担の提案施設の規模は半減しているにもかかわらず、市の負担となる特定公園施設の内容は増えており、工事金額も増加する可能性があります。民間資金の活用を図るPark-PFI事業と言いながら、龍城ヶ丘の場合は整備費の約8割以上、維持管理費の約5割以上を平塚市が負担するという、かなり一方的に行政が負担して民間事業者の収益事業を支援する構図になっています。駐車場などの特定公園施設は事業者側の負担で建設した後に市へ譲渡することになっていますが、予算措置及び財産の取得については平塚市議会で可決されることが条件となっています。この事業に対する税金の使われ方、公益性なども含めてどのようにお考えでしょうか。

 

□  事業を計画通りに実現するためには、追加予算も認められるべきと考える。

□  民間事業者の収益施設であっても公益性もあるので税金で支援すべきと考える。

□  収益が上がらずに採算がとれなくなっても市の公園なので経費の補填は当然である。

□  特定公園施設の譲渡金額も公正な入札の対象となるよう制度を改めるべきである。

 

理由または御意見

 

 

 

8.平成30年(2018年)8月に公開された「平塚市都市計画公園・緑地の見直し計画」では、385台分の大規模駐車場や公園となっている平塚新港等エリアは、現在は都市計画公園湘南海岸公園(総合公園)に指定されていますが、都市計画公園としての指定廃止区域にもなっています。市有地でありながら駐車場以外は漁港としても使用されていない未活用の遊休空地となっており、一部は公園としての指定廃止にもかかわらず1億1千万円の費用を投じて、ほとんど使われていない「しおかぜ広場」として整備されました。平塚新港等エリアは、区域区分変更後は市街化区域(第1種住居地域、容積率200%、建坪率60%)として駐車場に隣接する空地部分に道の駅のような商業施設の建設が可能となり、大磯港に建設中の国土交通省登録「みなとオアシス」と同等の700㎡規模の施設であれば2億円程度で整備可能です。これは平塚市が龍城ヶ丘ゾーンに市の予算で建設しようとしているコンビニエンスストア兼展望台より少ない金額で、平塚海岸エリアの観光拠点として経済振興の効果も見込めます。平塚市は、港地区の整備振興より海水浴にも危険な浜辺に面した防災上も有効な海岸林を敢えて伐採して、広大な駐車場とコンビニエンスストアをつくろうとしていますが、どのようにお考えですか。

 

□  両方とも整備すれば、ますます平塚海岸地域の活性化になるので進めるべきと考える。

□  龍城ヶ丘には隣接する道の駅に対抗するのではなく、特別な施設をつくるべきだ。

□  施設を建設すれば、費用がかかっても利便性は向上するので、海岸は積極的に開発すべき。

□  平塚新港の整備ができれば、龍城ヶ丘の整備に大金を投じる必要は無いと思う。

 

理由または御意見

 

 

 

9.平塚新港の駐車場は385台分という大規模な駐車場ですが、今年の夏の利用率を見ると、平日で約5%程度、土日で約30%程度に留まっており、ほとんどガラガラです。ビーチパークまでは平坦で眺めの良い海辺のさんぽ道を経由して790メートルであり、隣接する浜辺は知られたサーフィング・スポットですが、平塚市は維持管理予算を確保しながら海辺のさんぽ道はいつも砂に埋もれて歩行も困難な状態です。ビーチパークに建設された津波避難施設も、隣接するビーチセンターを改修して津波避難ビルに指定すれば、新たに建設する必要の無い施設です。既存の施設の有効活用も出来ずに、新たな開発や建設を進めるのは税金の無駄遣いであり、平塚市にとっても将来的に維持管理費の負担拡大となる負の資産の拡大と思われますが、どのようにお考えですか。

 

□  海岸の開発を進めれば、江ノ島のように年間数百万人の来場者を見込めるので駐車場も必要になる。積極的な投資で開発は進めるべきだ。

□  駐車場も砂に埋もれてしまうかもしれないが、少なくとも20年間のPFI事業期間中は、民間事業者が管理するので平塚市の直接的な維持管理費の負担増とはならないと思う。

□  平塚海岸における3箇所のスポットは離れているので連携を考える必要は無い。

□  平塚新港駐車場や海辺のさんぽ道など既存施設の維持管理と活用を図ってから、新しい施設の整備建設は進めるべきと思う。

 

理由または御意見

 

 

 

10.   神奈川県の構想として、藤沢市から茅ヶ崎海岸を経由して大磯方面へ通じるサイクリングロードの整備があり、平塚市内のみ整備されないまま放置され、平塚海岸の海辺のさんぽ道は自転車の進入禁止となっていて、サイクリングの愛好家は危険な134号線国道を使用しなければ平塚市内は通行できなくなっています。龍城ヶ丘ゾーンに計画されている公園計画では、海辺のさんぽ道もサイクリングロードも計画されておらず、整備しようとしても公園で遮断されて将来的にも整備不可能としています。また、計画案には自転車置き場がなく、樹林帯をさらに伐採してレンタサイクル置場の設置も検討しているようですが、基本的には自転車や海岸を散策する歩行者のことは全く考慮されていません。このような計画をどうお考えですか。

 

□  自転車は多少の危険や不便さがあっても国道を利用すれば良い。

□  龍城ヶ丘に整備する公園は使用料を取る収益施設なので、公園外のことは考えなくて良い。

□  収益を優先する民間事業者に公園の経営を委ねるのであるから判断は任せるべきである。

□  平塚市が計画に積極的に介入して変更を要求すべきである。

 

理由または御意見

 

 

 

11.   平塚市は、観光客の誘致は平塚の地域経済活性化にとってきわめて重要であるとして、今回の龍城ヶ丘ゾーン整備計画を進めています。観光振興を市の施策としながら、湘南エリアの市町村で主要な駅の構内や近傍に観光案内所はおろか、観光案内板もチラシも置いていないのは平塚市だけです。これで観光振興に力を入れていると言えるでしょうか。平塚市は民間事業者が龍城ヶ丘に雨ざらしで吹きさらしの大規模な屋外有料バーベキューレストランを設ければ、観光振興になると目論んでいるようですが、平塚市の観光政策をどのようにお考えですか。

 

□  龍城ヶ丘に整備されるこの公園は、県内有数の公園として年間76万人の来場者を見込める。

□  平塚市を訪れる観光客は電車では無く車で来るので、駅構内より龍城ヶ丘に案内所を設けるべきと考える。

□  「バーベキューをするなら平塚へ」は平塚の観光振興の絶好のフレーズとなる。

□  駐車場が有料であっても、この公園に立ち寄る国道通行車両を十分に見込める魅力ある公園施設だと確信している。

 

理由または御意見

 

 

 

12.   神奈川県は、2020年11月から2021年3月までの工期で、龍城ヶ丘エリアの養浜工事を行っており、大量の土砂が砂浜に投入されていますが、フットボール大の石や鉄骨の破片、古タイヤの断片と思われる不純物がかなり含まれており、海岸に投入する砂としては品質に問題があると思われます。平塚市の計画では、龍城ヶ丘プール跡地の凹地や東側樹林帯に、2万立方メートル以上という大量の土砂を投入して造成工事を行う予定ですが、そのための土砂は、養浜工事に使われている土砂と同様に大磯港の浚渫土、あるいは大磯港の桟橋に積み上げられて捨場を探している大量の土砂が運ばれてくる可能性があります。プール跡地の凹地を活かした地下方式の駐車場とすれば、搬入するのに大型ダンプで1万台以上ともなる大量の土砂の投入が不要となりますが、地下方式の駐車場は事前に検討されることも、選定委員会で議論されることもありませんでした。これらについてどのようにお考えですか。

 

□  造成工事は県の協力により格安に実行できるので、8メートルといわずに国道と同じ9メートルレベルになるまで積極的に行うべきである。

□  プール跡地の窪地は砂丘間低地と呼ばれる自然地形なので、外部からの土砂で埋め立てずにできるだけ保存し、地形を活かした計画を考えるべきだと思う。

□  土砂の搬入のために大量のダンプトラックが市内を走り回るのは好ましくない。

□  億単位の費用が掛かる既存プールの解体撤去はせずに埋めてしまえばよい。

 

理由または御意見

 

 

 

13.   津波対策と言うことに関しては、一般的な地下工法による地下駐車場であれば、国道と同じ海抜約9メートルのレベルに設けられた車の出入口以外から水が浸入することはありません。さらに、そこに止水板を設ければL2クラスの最大級の津波による浸水も防ぐことができ、きわめて安全です。施設全体が一体的な津波避難ビルとなり、地下駐車場は防災倉庫として活用でき、また屋上まで安全な垂直避難も可能です。それに比較して、平塚市の計画では屋外駐車場は造成して海抜8メートル程度にするとありますが、最大級でなくても8メートル以上の津波が来れば、駐車している大量の車が住宅地の方へ流されて危険です。平塚新港駐車場は、県の掲示板によると海抜4.5メートルしかなく、6.5メートル未満のL1クラスの津波でも車が全て流されてしまう浸水区域となっています。市民側が提案している地下駐車場は、平塚新港駐車場よりずっと高い位置にあり、L1クラスの津波でも浸水しない湘南海岸公園内で最も安全な駐車場となります。海岸の防災対策としても有用な地下駐車場案をどう思われますか。

 

□  神奈川県が湘南海岸公園内に整備した4箇所の大規模地下駐車場は、東日本震災以前に建設されたもので、平塚海岸に地下駐車場などとんでもない考え方だ。

□  地下駐車場であれば海岸の景観に影響なく、海岸樹林帯を伐採する必要もなくなるのは理解できるが、莫大な建設費がかかるのではないかと想像している。

□  一体的な施設整備とするとPark-PFI制度を使用できないのではないかと危惧する。

□  公園整備に対する推進派と慎重派の両方の要望を満足でき、各種課題や住民の不安も解消できそうなので、現計画は一旦保留して再検討するべきだと思う。

 

理由または御意見

 

 

 

その他御意見

 

 

 

 

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